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カリグラフィーとは

カリグラフィーとは、CALLI (美しい)・GRAPHEIN (書く事) というギリシャ語に由来する言葉で、アルファベットを美しく装飾的に書く技法です。

この世に文字が生まれたのは紀元前4000年とも言われ、最初のアルファベットが形成されたのは紀元前1800年頃のようです。その後ローマ帝国で標準的なアルファベットが形成され、その支配下にあったヨーロッパ各地に広まりました。そして紀元前2世紀頃からは「書体」として整えられ始め、以降時代の変遷とともに様々な書体が生まれました。15世紀に印刷機が発明されるまでは、文字は全て手書きでした。ヨーロッパにおける文字の発達には、キリスト教の発展と伝播が深く関わっており、宗教書として数々の美しい写本が残されています。そして17世紀の初め頃カリグラフィーという言葉が生まれます。18世紀半ばの産業革命後、これまで上流社会の宝物とされてきた書物が、印刷によって一般の人々にも普及し、知識と教養を広める大きな節目となりましたが、近代化・機械化がさらに進むことで、かつての職人としての手仕事の美しさは失われていきました。こうした状況に疑問を抱き反発した芸術家・建築家たちによって復興運動が盛んになり、イギリスの美術工芸職人ウイリアム・モリスたちの「アーツ・アンド・クラフツ運動」により手書き文字の芸術的美しさも再認識されるようになりました。その後現代カリグラフィーの祖となるエドワード・ジョンストンによって、新しい書体も作り上げられ現在に受け継がれております。

このように長い歴史と共に発展と変換を続けてきたカリグラフィーは、今でも多くのカリグラファーたちによって様々な変化が加えられ、進化を遂げています。

手書きの文字の美しさは、それぞれ独自のものであり芸術品です。日本におけるカリグラフィー普及過程は、私にとって一瞬一瞬が学びのときであり、それによって独自のスタイルを確立してきました。

先人たちの残した貴重な財産を大切に、これからも新たな書体の変化や手法を考案し書体にあった装飾法も生み出し、さらなる発展を目指していきたいと思っております。

用具について

カリグラフィーは専用のペンとインク・絵具があれば始められます。ペン先は一般的に先の平らなものを使います。同じように平らなマーカーペンや平筆なども使えます。ペン先の種類はいろいろあり、幅の広いものほど大きな文字を書くことができます。カッパープレート体は先の尖った専用のペン先と専用のオブリックホルダーを使用します。

 

書体について

カリグラフィーの書体はたくさんありますので、ここでは現在よく使われる3書体をご紹介します。

イタリック体
日常の手書き用の文字として、最も普及していると言えるでしょう。大文字は浪漫体を傾斜させて華やかにすることで生まれたと言われています。カリグラフィーペンの特徴生かした、太いラインと細いラインが交互に繰り返される書体です。入門書体としても適していますので、初めての方はまずイタリック体を練習してペンの使い方に慣れるのが良いでしょう。

ゴシック体
ブラックレターとも呼ばれるその名の通り、時間や行間を詰めて塗りつぶすように書くのが特徴です。文字はゴシック様式を象徴するような先端の尖ったアーチ形を持ち、縦のラインは垂直です。読みやすさを考慮されていない書体ですが、クラシカルで荘厳な雰囲気を持っているので少し改まった気分を出したいときに使うと効果的です。

カッパープレート体
イタリック体をモデルとして生まれた書体ですが、ペンはカッパープレート体専用の先の柔らかい尖ったものを使います。ペンに力を加えることで先が開き、太い線を描くことができます。繊細なヘアラインや装飾的なフローリッシュが特徴の美しい書体ですが、先の太さや傾斜を一定に揃えて描くためには練習が必要です。

 

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